昭和58年の宇宙移民

番外編 残留者・岬沙也加 2 マーフィ

 日曜の朝、カレーを食べた。

 子どものころ、一日置いて冷めたカレーは好きだった。妹もそう。友だちもみんな。中学生になってクラスで聞いたら、私も、じつは私も、と声が上がった。

「冷めたカレー、みんな好きだっていってたよ」

 うちに帰って、母親にも話してみたのだけど、反応は鈍かった。

 東に向いた窓のカーテンの隙間を縫って、朝の光が白い三角形を描く。その先端が私の枕元を離れるころ、鳥のさえずりも消える。車の喧騒に驚いた鳥は私のなかに逃げ込んで、胸の隙間に身を震わせる。私の巣は、ほころんだ青い掛け布団。目を覚ますと、隣で寝息を立

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