憧れの秋山さんに捧げる冒険

 人間の古澤くんには、人間の権丈弓子という彼女がいた。

 弓子は友だち。とても歌が上手い子。自分で歌詞まで書いているし、古澤くんが曲をつけているらしい。だれもが羨む公認のカップル。なのにわたしは、恋をしてしまった。いわゆる横恋慕。

 古澤くんが視界に入ると、胸の中の裸のおっさんがハーモニカを吹いて踊りだす。いいや、違う。胸のなかにいるのは、たぶんわたし。裸でハーモニカを吹いているのはわたし。なんてあられもない。変態だ。きっと、わたし。

 で、その古澤くんと弓子はいつもふたりで話をしている。回帰型ニューラルネットワークのエラーのせいか、ハートが飛び交って見える。

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